研究課題/領域番号 |
16K21414
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
山手 昌樹 日本女子大学, 文学部, 研究員 (70634335)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ファシズム / ムッソリーニ / 女子教育 / イタリア / 女性ファッシ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、イタリア・ファシズム体制がどのような女性を理想とし、その理想と現実との乖離をどのように調整したのかを明らかにすることにある。この目的を達成するため、第一にムッソリーニやファシスト幹部の女性観、第二にファシズム体制下の女子教育、第三に就労女性に対するプロパガンダに焦点を当てていく。 初年度である2016年度は、まず第一の点に関して『ベニート・ムッソリーニ全集』を用いて、ムッソリーニの演説や雑誌投稿記事を分析した。 次に第二の点に関して、研究文献を用いて、ファシズム体制の教育政策やそれに関わった主要なファシスト幹部を整理し、ムッソリーニやファシスト幹部の指示がどのような仕組みで青少年に伝達されたのかを調査した。その結果、とりわけ女子教育においては、ファシスト党女性支部がきわめて重要な役割を担ったことが明らかになった。同組織のメンバーに多く含まれた学校教員は、教育現場の実態を熟知し、かつ体制イデオロギーを青少年に教化する役割を担った。 そこで彼女たちの活動や考え方を明らかにするため、同組織が1925年から1930年まで発行した機関誌『女性評論』(Rassegna femminile italiana)を取り上げ、寄稿された記事を分析した。ここで分析した結果は、上智大学史学会第66回大会第三部会(2016年11月20日)において「ファシスト女子の声」と題し報告した。 また年度末には、次年度の研究遂行のために不可欠な史料を収集するため、約3週間にわたりイタリアで史料調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は日本やインターネットで入手可能な史料を分析の中心にすえたため、研究遂行上、大きな支障は生じなかった。
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今後の研究の推進方策 |
『女性評論』誌の分析を引き続きおこなっていくとともに、新たにイタリアで入手した史料の分析に取りかかり、その成果の公表に取り組む。
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