研究課題/領域番号 |
16K21420
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
土方 規実雄 東京都市大学, 工学部, 助教 (70710507)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電動機 / 磁気浮上 / ベアリングレスモータ / バーニアモータ / 高トルク |
研究実績の概要 |
本研究では,構造的に高トルクを発生可能なバーニアモータをベアリングレスモータと組み合わせ,低速高トルク駆動と磁気浮上による完全非接触駆動を両立するベアリングレスバーニアモータを提案している。 本研究課題では,研究期間内に特に永久磁石の利用による更なるトルク密度向上・高性能化を狙い,1.永久磁石によるトルク密度向上と電磁気力発生を両立する電動機構造の提案,2.三次元有限要素法解析を用いた試作機の設計・製作,3.実機試験による性能の評価,の実施を予定している。平成28年度においては,項目1と項目2を実施した。 項目1については,トルク密度8 N m/lを目標として永久磁石型ベアリングレスバーニアモータの構造を検討し,高いトルクと軸支持力とを両立する「コンシクエントポール型ベアリングレスバーニアモータ」の構造を提案した。提案構造は,先行研究で提案した永久磁石を用いないリラクタンス型と比べ,同一体格において,同程度の電磁気力を維持しつつ2倍以上のトルク密度である11.6Nm/lが達成できることを明らかにした。 項目2については,三次元有限要素法解析ソフトウェアのJMAGを用いて,提案構造の詳細な解析を実施した。具体的には,電動機の極数,固定子と回転子の歯数,その他の構造的な寸法比が,トルクや浮上のための電磁気力に対してどのように影響するのか等を調査した。しかし,調査項目が当初の想定以上に多くなってしまったために,わずかに遅れが生じ,年度末までに完了を予定していた試作機の設計は未完了である。平成29年度の初期において,早急に試作機の設計を完了するとともに,試作機の製作に取り掛かりたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は,永久磁石型ベアリングレスバーニアモータの構造の提案と,提案構造の詳細の電磁界解析による設計指針の確立および試作機の設計が,主な実施内容であった。進捗の遅れた理由は,後者の提案構造の電磁界解析において,調査項目が当初想定していた分量から増加したためである。 従来型のコンシクエントポール型ベアリングレスモータでは,電動機の極数と回転子の磁極数が等しく,極数が4以上であるときに脈動のない電磁気力を発生することが知られている。今回,提案した構造では,電動機の極数と回転子の磁極数が異なるが,回転子の磁極数は20程度と大きかったために,安定に電磁気力を発生できると考えていた。しかし,解析を進めると,実際には回転子と固定子の歯数の組み合わせによって同じ極数でも電磁気力の特性が大きく異なることが明らかになった。そのために,解析条件の組み合わせが当初想定していた分量を大きく超え,特性の調査に時間を要する結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では,平成28年度末までに試作機の設計を完了し,平成29年度において試作機の実機試験による特性の調査および,試作機を簡易ロボットアームに組み込んで実機試験を実施する予定であった。 現状では,前述の磁気浮上特性に関する新たな事実の調査に時間を割いている状況である。しかしながら,磁気浮上特性の構造に対する依存性は,本研究課題で提案するコンシクエントポール型ベアリングレスモータ特有の現象である。また,その結果は今後,他の構造を検討する際にも非常に重要な情報になると考えられるため,十分な調査を行う必要があると考えている。 そのため,平成29年度の研究計画の変更を考えいる。具体的には,年度末に予定していた簡易ロボットアーム試験の中止である。平成29年度の前半において,現状の解析結果を用いて試作機の設計・製作を行い,後半において完成した試作機による実機試験を実施する。これらの作業と並行して,提案構造の磁気浮上特性の解析を継続して進める。磁気浮上特性の調査を行うための時間を,簡易ロボットアーム試験の時間をもって充てる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の研究の遅れにより,平成28年度に計画していた試作機の製作に取り掛かることができなかった。そのため,試作機の製作費等を次年度使用額として翌年に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については,当初の予定通り試作機の製作費に充てる。
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