本研究の目的は、2000年代以降の乳幼児施設の機能拡大の動向から、子育てに関するイデオロギーの維持/変容を捉えることにある。この目的のため、①1990年代以降の保育政策の論点の抽出、②乳幼児施設を対象とした質問紙調査に取り組んだ。その結果、1990年代以降の「幼保一元化」議論の背景にある少子化対策と規制緩和策の存在ならびに福祉・教育政策の変化を指摘すると共に、「幼保一元化」の実現が「家族主義」を超える可能性をもつことを明らかにした。加えて、2023年に実施した調査は、2005年調査結果との比較を通じて、機能拡大の動向や子育てのイデオロギーの変容を実証的に捉えることを可能にするものであった。
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