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2017 年度 実績報告書

戦後70年間における高知県の「犬神」変容に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K21426
研究機関早稲田大学

研究代表者

酒井 貴広  早稲田大学, 文学学術院, 助手 (70757228)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード憑きもの筋 / 民間信仰 / 相互作用 / 公共人類学 / 文化人類学 / 民俗学 / 地域研究 / 日本近現代史
研究実績の概要

最終年度となる平成29年度においては、(1)3回の現地調査、(2)文献資料の収集と整理、(3)研究成果の口頭発表、(4)研究成果の論文化を概ね研究計画通りに実施した。
前年度までの研究では、高知県下の生活者は、しばしば憑きもの筋研究の成果へ「言及」してきたとの見解を提出した。平成29年度の研究では、土佐の民間信仰と学術研究を下敷きにしたフィクション作品を交え、「学術研究」、「生活世界」、「フィクション作品」の三者の間に生じる相互作用を議論した。
前年度までの議論から、(1)学術研究の言説から生活世界の言説への働きかけ(研究成果の社会還元)、(2)生活世界の言説から学術研究の言説への働きかけ(生活者による様々な言及)の存在はすでに明示している。平成29年度の議論では、坂東眞砂子の伝奇小説『狗神』、『鬼神の狂乱』を事例として、(3)生活世界の言説からフィクション作品の言説への働きかけ、(4)学術研究の言説からフィクション作品の言説への働きかけが存在することを確認した。加えて、地方新聞『高知新聞』、『毎日新聞高知地方版』に掲載された記事によると、『狗神』に触発されて高知県下の犬神にまつわる現地調査を敢行したアクターの存在が明らかとなり、(5)フィクション作品の言説から生活世界の言説への働きかけも実行力を伴って存在したことが分かった。また、従来看過されてきた、(6)フィクション作品の言説から学術研究の言説への働きかけに対して、本研究が初めて注目したと言えよう。
これら6種の働きかけを総合すると、戦後の高知県下における「犬神」言説の変容は、近代化に伴う民俗事象の後景化として一般化できるものではなく、「高知県」というフィールド独自の要因が相互に影響し合った結果生じた事態であると結論付けられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 「災害の予感」に関する文化人類学的研究試論 ―南海トラフ地震に備える高知市沿岸部を事例として―2018

    • 著者名/発表者名
      酒井貴広
    • 雑誌名

      早稲田大学大学院文学研究科紀要

      巻: 63 ページ: 719-735

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 儀礼の創出と地域住民のアイデンティティ表象に関する研究―栃木市都賀町家中の“強卵式”の事例から2017

    • 著者名/発表者名
      松田俊介・酒井貴広
    • 雑誌名

      生活学論叢

      巻: 30 ページ: 1-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 学術研究が生活世界へ及ぼす影響に関する研究 ―戦後の「憑きもの筋研究」を事例として―2017

    • 著者名/発表者名
      酒井貴広
    • 雑誌名

      人間関係学研究

      巻: 22(1) ページ: 13-26

    • 査読あり
  • [学会発表] 高知県における「犬神」観の変容に関する研究―戦後を中心として2018

    • 著者名/発表者名
      酒井貴広
    • 学会等名
      日本文化人類学会関東地区研究懇談会2017年度修士論文・博士論文発表会
  • [学会発表] 来るべき災害の「予感」に関する文化人類学的研究―高知市浦戸地区の事例から2018

    • 著者名/発表者名
      酒井貴広
    • 学会等名
      日本生活学会
  • [学会発表] 南海トラフ地震の「予感」に関する文化人類学的研究―津波タワー・津波ビルへ避難する高知市種崎地区を事例として2018

    • 著者名/発表者名
      酒井貴広
    • 学会等名
      日本文化人類学会
  • [学会発表] 災害の『予感』に関する実践人類学的研究―南海トラフ地震に備える高知市沿岸部の事例から2017

    • 著者名/発表者名
      酒井貴広
    • 学会等名
      日本文化人類学会次世代育成セミナー(2017年度東日本会場)

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公開日: 2018-12-17  

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