研究課題
本研究をスポーツ競技や臨床現場に応用させるための基礎的研究と位置づけ、ヒト骨格筋の材質特性である“硬さ”が『どのような手技』を『どのような強度』で『どれくらいの時間実施する』ことが最も硬さを変化させ得るか、を明確にすることを目的に研究を行なった。最終年度となる今年度は、初年度において総説論文として発表したストレッチングや温熱療法、鍼灸、マッサージなど筋の材質を低減するとされる手技の網羅的文献渉猟結果を反映させた2つの実験に関する詳細解析を行った。実験は、材質を低減させる可能性が高い①ストレッチングと②マッサージによる介入実験に設定した。両手技において対象としたのは下腿三頭筋で、評価には超音波エラストグラフィ装置を用いた。①ストレッチング実験では、様々なストレッチング手技の中で、安全性が高く、多くの現場で用いられる手技であること、さらに今回想定している手技の中で最も高い効果が期待できることからスタティックストレッチングを選択した 。立位からストレッチングボードを用いて足関節を背屈し、その角度を保持する現場で多用される手法にて硬さの変更を試みた結果、1)材質は13%低減し、その検出は種々の超音波エラストグラフィ装置(ひずみタイプとせん断波タイプ)の間で同様であること、2)繰り返し効果には上限があること、が明らかとなった。②マッサージによる介入では、30年以上の臨床経験を持つ理学療法士から軽擦法や強擦法、揉捏法によるマッサージを実施し、直後において約16%の材質低減を認めたものの、5分後には8.5%まで回復し、10分後に有意差がなくなった。健常者の安静時の筋に対する①ストレッチングおよび②マッサージによる介入において、強度や時間依存的な変化に関する差異、activeもしくはpassiveの違いによる差異、の影響はあるものの、現場へ還元し得る客観的かつ直接的な証拠を示した。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
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