社会における資源配分の決定は,人々の行動の集計結果によって決まる。例えば証券市場取引において誰がどれだけ売買をするかという決定も,そうしたプロセスによって決まる。筆者は,資源配分メカニズムに参加している人々が非常に多く,個人単体の行動だけではメカニズムの結果は変わらないという『個人単体の影響力が無視されるメカニズム』に注目し,そこでのインセンティブ設計問題に取り組んだ。 筆者は,そうしたメカニズムにおいて,「システムダウン」のような望ましくない事態だけを防ぐための制度設計が可能かを理論的に追求する研究を行い,可能であるための諸条件を導いた。
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