明治・大正期の童話・例話に現れた〈良い子〉像の研究

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K21436
• 研究機関: 早稲田大学
• 研究代表者: 坂本 麻裕子 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授(任期付) (40648317)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 子ども観 / 近代 / 知識人

研究実績の概要

本研究は、明治・大正期の子ども向け出版物に掲載された童話・例話のエートス的、イデオロギー的意図を分析し、そこに現れた〈良い子〉像を学校教育と家庭教育の各立場及び両者の相互的影響関係を視野に入れて考察することを目的としている。明治期・大正期の〈良い子〉像のイメージ・概念を明らかにするため、今年度は前年度から引き続いて、次の研究作業を実施した。
まず、文献資料の収集作業を行った。今年度は明治期の知識人が書いた文献に着目して収集を行った。本研究と関連性のありそうな資料を探し出し、研究対象となりそうな資料か中身を確認した。次に、関連する先行研究の調査も再度行った。現在、福沢諭吉をはじめとした知識人（主に洋学者）の著作（自伝など）に表れた子ども観、家族観を分析しているところである。前近代の子ども観と比較することで、近代に表れた子ども観の一側面を明らかにできればと考えている。
調査方法としては日本国内の貴重図書を調査し、先行研究にはない新しい資料発掘を試みたいと考えているが、今年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって移動に制限があったため、電子化された資料データベースや古本書店を中心に調査を行った。福沢諭吉に関連した書籍、明治期の〈近代〉に関する書籍を複数購入した。研究方法としては、子ども観、家族観に関する記述を集めて分析している。今後は、本年度の研究結果を、学会発表や論文などで公開していく予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、図書館調査（旅費の執行）などを予定通り進められなかった。

今後の研究の推進方策

明治・大正期の子ども向け出版物に掲載された童話・例話のエートス的、イデオロギー的意図を分析し、そこに現れた〈良い子〉像を学校教育と家庭教育の各立場及び両者の相互的影響関係を整理していくことと研究結果の発信を目指す。2022年度も引き続き、次のように進める。１）前年度の資料収集を基に、必要な場合はさらに追加の資料調査を行う。２）前年度から引き続き、収集した資料の分析を行う。３）資料を分析しながら、必要な研究手法の改良を行う。４）前年度の研究結果を踏まえ、これまでの分析結果を通史的に分類する作業を引き続き進める。５）これまでの研究結果をまとめ、学会発表および論文投稿による研究内容の発信を行う。特に投稿論文に力を入れる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、旅費（調査出張費、学会出張費など）を執行することができなかった。出張ができる社会状況になり、旅費が執行できる状況になれば図書館調査や学会出張費に使用する。もし翌年度も旅費の執行が難しい場合は、図書購入、データベースからダウンロードした資料の印刷代、遠方の図書館への文献複写・郵送依頼（複写費、通信費）、オンライン学会への参加費、投稿料、書籍購入などにあてる予定である。