ヒゲクジラ類の耳小骨の分類群ごとの形態差違を明らかにするため,17種のヒゲクジラ類に関して形態比較を行なった.その結果,形態差違が軽視されてきたヒゲクジラ類においても,各科ごとに耳小骨の形態が異なることが明らかとなった.たとえば、ナガスクジラ科のツチ骨は,他のヒゲクジラ類に比べて,前突起が背腹方向に厚い.また,コククジラのツチ骨は内側面観において前後に幅広く,キヌタ骨との関節面も歪な楕円形である.アブミ骨は形態的な多様性は低いが,ホッキョククジラのアブミ骨は他のヒゲクジラ類より長い.このように、ヒゲクジラ類の耳小骨の形態は各系統を反映しており、鳴音などの生態と関連して進化した可能性がある。
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