前年度の2017年度までに、当初計画されていた2波からなる縦断調査2つの実施を終えており、本年度は成果の公開のみを行う計画であった。 縦断調査の直接の成果としては、『人文研究』196号に1編の論文が掲載された他、日本社会心理学会第59回大会にて口頭発表を、日本心理学会第82回大会にてポスター発表を行った。また、研究の一環として行った先行研究のサーベイの成果としては、偏見と差別についての書籍の1章がちとせプレスより出版されたほか、日本発達心理学会第30回大会でのシンポジウムの話題提供を務めることができた。加えて、1章を執筆したレイシズムについての書籍一冊(株式会社共和国)が印刷中の段階にある。 この他に、縦断調査の直接の成果あるいは先行研究のサーベイの成果として、一般社団法人部落解放・人権研究所より出版された書籍の1章、一般向けシンポジウムでの講演、中等・高等教育機関での講演、マスメディアへの取材協力や助言など、社会貢献活動も積極的に行うことができた。 2018年度中に、本研究課題に含まれないが深く関連する国際共同研究として、The University of the South Pacific(フィジー)および上智大学(日本)との、韓国人への偏見と集団間葛藤に関する研究を開始した。 ただし、縦断研究で得られた知見について、事業期間内に論文としての公刊を済ませることができなかった部分が多々ある点は、反省材料である。
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