【目的】これまで準備期・口腔期の舌運動はVF、MRI、US、舌圧センサーなどにより検討されてきた。しかしながら舌運動を4次元的に捉えることは困難であった。嚥下CTでは3次元データを時系列上に4次元で抽出できるため舌運動を可視化することができる。我々は昨年度本学会で、健常人の準備期・口腔期において食塊量及び性状変化が舌口蓋接触と舌陥凹にあたえる影響について報告した。本研究では脳卒中患者の舌運動パターンが脳の障害部位によってどのように変化するか検討をおこなった。【方法】対象は嚥下CTの撮影を行った有病高齢者16名(脳卒中患者: テント上8名、テント下8名、平均年齢 65 歳)とした。撮影されたデータからZiostation2 を用いてVolumeRendering像および多断面再構成造像の4次元画像を作成し舌、食塊の定性的および定量的変化を評価検討した。【結果】定性的な評価において、食塊保持パターンは25%がDipper Typeであり、脳病変部位による差は認めなかった。食塊保持パターンと舌保持形態の左右差は関連性を認めなかった。テント下群は翼状突起断面においてX軸方向で左右差を認めた。テント下群はとテント上群と比較し翼状突起断面において障害側の舌正中溝の陥凹が浅く、舌根部の左右差が少なかった。【考察】CTで奥舌の動きを客観的に画像化することが可能であった。本研究ではDipper Typeが25%であり過去の報告20%ともほぼ一致していた。テント下群では障害側の迷走神経、舌下神経の影響が考えられ疑核および舌下神経核の同側支配の優位性が示唆された。テント上群で左右差を認めないのは支配神経の両側支配であることが示唆された。
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