本研究では,ロジスティクス理論を適用した健康づくりの簡易的フィードバックモデルに則った幼児の健康・体力づくり活動を行うことにより,幼児のヘルスアップ・ロジスティクス理論を構築することが主たる目的であった.また,それに基づき大学生が活用できる教育ツールを開発することを目指した. ロジスティクスでは点(供給地点)から点(需要地点)までの「もの」や「情報」の流れの最適化を目指す.そこでは,点と点を結ぶ活動がいかに効率よく,効果的に行えるかが焦点となる.本研究では健康づくりの簡易的フィードバックモデルを「広報システム」「測定システム」「分析・評価システム」「健康改善システム」の4つのシステムを軸として構築したモデルに対して,まず,4つのシステムにおける全体の工程分析を行った.本年度は,このヘルスアップ・ロジスティクスの中核をなす「測定システム」に対して稼動分析の手法を用いて作業の滞留やロスの発生状況および原因について分析を行った.複数の実施場所および対象者についての分析を行った結果,作業滞留およびロスは「測定システム」の準備段階において最も多く発生し,続いて測定実施段階において多く発生していることが明らかにされた.これらの滞留およびロスの原因は行動自体ではなく,行動を決定するための判断にあることが示された.したがって,大学生の教育ツール作成においては測定準備段階および測定実施段階における最適化を目指す必要性が示された.
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