研究課題/領域番号 |
16K21468
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研究機関 | 星城大学 |
研究代表者 |
林 浩之 星城大学, リハビリテーション学部, 講師 (40440820)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 浮腫 / 静脈還流 / 片麻痺 / 上肢 / 非麻痺側運動 |
研究実績の概要 |
脳卒中後の麻痺側上肢における静脈うっ滞,それに伴う浮腫は疼痛,静脈血栓,上肢機能廃絶等を惹起する.そのため静脈還流を促進する方策が講じられるが,現在の方策には合併症や問題点があり,効果も疑問視されている.さらに,浮腫の定量評価は困難であり,静脈還流と浮腫の関係性解明には至っていない.本研究の目的は,麻痺側上肢の静脈うっ滞と浮腫予防戦略の構築に向けた基礎的研究として,(1)静脈還流と浮腫の重症度との関係性,(2)非麻痺側上肢運動による麻痺側上肢の静脈還流変化特性について明らかにすることである. 目的(1)について,対象者は片麻痺患者である.手背浮腫の計測には,エコーを用い,上肢全体の浮腫は,体組成計を用いる.非麻痺側と麻痺側における液貯留所見および水分量の差から麻痺側浮腫を定量的に計測する.さらにエコーによって腋窩静脈の血管直径,平均血流速度を計測し,分時静脈血流量を算出する.最終的に,算出した静脈還流量とエコーおよび体組成計によって計測された浮腫の容量との相関関係を分析する. 目的(2)について,対象者は片麻痺患者である.安静時および非麻痺側上肢運動後に,エコーによって麻痺側の腋窩静脈の血管直径,平均血流速度を計測し,分時静脈血流量を算出する.また,非麻痺側上肢運動による麻痺側上肢筋の血行動態の経時的変化を観察するために,橈側手根伸筋にNIRSプローブを貼付し,安静時および非麻痺側上肢運動時の血行動態をリアルタイムに計測する.最終的に, 麻痺側上肢の腋窩静脈の分時血流量について非麻痺側上肢運動後と安静時を比較する.また,NIRS所見から得られた組織酸素化血液量,組織脱酸素化血液量および総血液量の経時的変化を分析する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに10名の片麻痺患者の協力を得て,データを取得した.データ取得の進行はおおむね順調である.また,研究に関するトラブルもなく,さらに予測した結果に近いことから,研究全体を通して,おおむね順調に進んでいると判断する.第42回日本脳卒中学会学術集会において,一部のデータを分析したパイロットスタディを発表した..
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度も引き続き,片麻痺患者の協力を得ながら,着実にデータを取得していく.本研究の計画に特に変更点はない.データの収集とともに,整理についても遂行している.20名のデータが揃えば,論文化に向けた執筆を実施したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に向けて,論文費用を当初予定していたが,執行が29年度に移行したため.
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り,論文費用として使用する.
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