本研究の目的は,脳卒中後の麻痺側上肢の静脈還流促進と浮腫予防戦略の構築に向けた基礎的研究として(1)静脈還流と浮腫の重症度との関係性,(2)非麻痺側ハンドグリップ運動による麻痺側上肢の静脈還流変化特性について明らかにすることであった.研究対象は,脳卒中発症後6か月未満の患者21名であった.超音波診断装置や体組成計によって,手の浮腫や非麻痺側ハンドグリップ運動時の麻痺側上肢の静脈の血行動態を計測した.結果,手の浮腫と静脈還流の間には有意な相関はなかった.ただし,対象者数が少なく,さらにデータを収集する必要がある.また,非麻痺側ハンドグリップ運動によって,反対側上肢の静脈還流は有意に増加した.
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