研究課題/領域番号 |
16K21469
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
國司 航佑 京都外国語大学, 外国語学部, 講師 (10760324)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | クローチェ / 文学 / 歴史 / 美学 / 文学史 / 文学理論 / 歴史哲学 |
研究実績の概要 |
本研究は、思想家ベネデット・クローチェの歴史哲学を代表する「全ての真の歴史は現代史である」という命題について、その成立過程を明らかにしようとするものである。この目的を達成するために、4つの個別課題を設けて本研究は開始された。平成28年度を終えた段階で、当初当該年度に予定されていた最初の3つの課題(1、クローチェの文学史家としての活動をまとめる、2、クローチェの歴史哲学の通時的分析、3、1909年から1917年にかけてのクローチェの読書体験の検証)の一部を、29年度の課題に改めていた。これを踏まえた上で、29年度の研究実績の概要を以下に示す。 第1の課題は平成28年度に全て解決することはできなかったが、平成29年度にはこれを解決し、その結果、クローチェ思想における歴史と文学の関係が整理され、課題2および課題3への道筋がよりクリアになった。課題1の研究成果は、平成29年8月の研究会、30年3月の論文において発表した。 第2の課題は一部進捗したが、研究成果をまとめるまでには至らなかった。また、第3の課題は予定通り進めることはできなかった。 一方、平成28年度に新たな課題として浮かびあがった「戦前戦中の日本におけるクローチェの歴史哲学の受容」に関して、平成29年10月にイタリア本国において研究論文を発表することができた。さらに平成28年10月に開催された国際シンポジウムの論集を取りまとめ、これを平成30年2月に刊行した。 その他、平成28年に開催した国際シンポジウムの報告集を編集し、平成30年2月に刊行することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定に比べて、やや遅れている。その理由としてまず、全体として研究にあてられる時間が不足していたことが挙げられる。前半期、副鼻腔炎および蓄膿症に罹患し、11月に手術入院したこと、さらに同僚の教員が突然休暇を取ったため(12月)学内の仕事量が増加したこと等、様々のイレギュラーな事態が発生したからである。第二の理由として、研究そのものが当初の予定になかった新たな課題と成果をもたらしたことが挙げられる。その主なものは、クローチェ思想の我が国における受容に関するものである。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗状況が予定通りでないため、課題3「クオ―チェの読書体験に関する研究」を平成30年度前半に、課題4「『歴史叙述の理論と歴史』の執筆・出版の過程」に関する研究を同年度後半に行う。また、当初の計画で平成30年度に予定されていた、「研究1~4の総合」は次年度の課題とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、手術入院等、病気によって研究を妨げる事態が相次ぎ、海外渡航と現地における研究を先送りせざるをえなかった。
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