研究課題/領域番号 |
16K21475
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
松尾 奈々 京都橘大学, 健康科学部, 専任講師 (50633351)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 難治性疼痛 / 脳波周波数 / 聴覚刺激 / ニューロフィードバックトレーニング |
研究実績の概要 |
難治性疼痛は治療に難渋する慢性疼痛であり、ストレス要因と連動して脳内神経回路のひずみや可塑的変化を引き起こすことが原因とされる。慢性疼痛患者の脳機能に関する研究において、脳波周波数帯域に健常者とは異なる特性があることが報告されており、これらのことから、難治性疼痛には、脳機能状態を変容させるような治療が有用であると考えられる。本研究では、難治性疼痛患者の脳波周波数パターンの解明および聴覚刺激をフィードバック情報とするニューロフィードバックトレーニング実施による難治性疼痛への効果検証を目的とする。当該研究の実施は、難治性疼痛患者に対する効果的なニューロフィードバックトレーニングを確立し、ニューロリハビリテーションにおける新たな感覚障害改善プログラム創出のための基礎研究である。 平成28年度は、聴覚ニューロフィードバックトレーニングに用いるターゲットとなる脳波周波数の解析を目的に取り組んだ。 まず、予備調査として、難治性疼痛患者には女性も対象になると想定し、周期的に疼痛が生じる月経痛を有する女性の脳波周波数パターンの解明および聴覚刺激をフィードバック情報とするニューロフィードバックトレーニングを実施した。聴覚ニューロフィードバックトレーニングを実施することで対象者の多くは、ターゲットとなる脳波周波数のコントロールが可能となった。これらのことから、安静時脳波周波数帯域からターゲットとなる脳波周波数が明らかとなったが、介入トレーニング実施による痛みや不安に関する詳細な効果検証および難治性疼痛患者の安静時脳波周波数の特性パターンに対応するターゲット周波数の解明は、現在も研究を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データの収集、論文の作成が遅れているため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度はさらに症例を蓄積し、難治性疼痛患者に対して現行のリハビリテーション治療は続けながら、聴覚刺激をフィードバック情報とするニューロフィードバックトレーニング実施することで、痛みや不安に関する効果検証をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、ベースライン調査の実施にあたり、研究協力施設への旅費があまり発生しなかったことがあげられる。また、初年度ということもあり、研究成果が学会発表の水準にまでは達しなかった部分があり、学会などへの出張を行わなかったため、旅費が発生しなかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額の使用計画は、主として聴覚ニューロフィードバックトレーニング介入によるデータ収集蓄積のため、研究協力施設への旅費として使用することを考えている。 また、得られたデータの分析や成果の公表のため、学会に参加するための旅費、翻訳代等に使用する計画である。
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