最終年度は、前年度の高等学校生物基礎「生物の体内環境と維持」のデータ分析を進めた。その結果、「生物学に対する個人的価値」などに中程度の効果が認められ、真正の学習に依拠した単元開発及び実践の有効性を示すことができた。この成果は、2019年9月に開催された日本理科教育学会全国大会(静岡大学)にて発表することができた。 また、中学校第3学年理科「水溶液とイオン」「化学変化と電池」に関する成果については論文化し、現在、論文審査の途中である。引き続き論文誌掲載に向けて対応したい。 4年間にわたる本研究を研究協力者とともに総括したところ、主に次の2点が特筆すべき成果として挙げることができる。 ①チームコラボレーションツールである「Slack(スラック)」を用いたウェブ上における協働検討システムを構築、運用することができた。具体的には、ウェブ上で実践者からの提案や研究者からの助言、進捗状況の確認、諸連絡等、円滑に議論することができた。浜松市教育センターの理科研究員、指導主事の先生方にもご協力いただき、Slackを活用した授業づくり、実践研究にも取り組み、利便性や有用性を確認した。 ②中学校、高等学校理科において、真正の学習に依拠した単元開発及び実践によって、科学や理科学習に対する態度の改善に一定の効果を明らかにすることができた。 以上の2つの成果は、中学校、高等学校段階における生徒の科学や理科学習に対する態度が低迷しているという日本の理科教育の問題点に対して、解決のための有益な示唆を与えることができたと考える。
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