研究課題/領域番号 |
16K21480
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
西村 陽子 東洋大学, 文学部, 准教授 (70455195)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 東洋史 / 考古学 / 歴史GIS |
研究実績の概要 |
平成28年度は、ベルリン国立アジア美術館所蔵の写真資料や平面図の草稿図などを用い、トルファン地区およびクチャ地区の遺跡を対象として、従来の成果に基づきさらなる遺跡照合を進めた。特にトルファン地区の遺跡においては、1.遺跡現況とドイツ隊調査遺跡の調査地不明古写真の照合、2.衛星写真とドイツ隊調査遺跡の平面図の照合、3.ドイツ隊撮影古写真と衛星写真の照合による撮影地の特定を行い、従来撮影地が不明であった調査古写真から、ドイツ隊調査のより詳細な情報を明らかにしただけでなく、衛星写真とイギリスのスタインが残した遺跡広域図を重ね合わせることによって、ドイツ隊とスタイン隊調査地の相関関係を明らかにし、その成果を国際学会で広く公開し、現地遺跡管理への還元を計っている。 また、クチャ地区においては、既に作成済みで遺跡データベースへの搭載予定のツールである「マッピニング」を用いて古地図の誤差を収集し、今後の調査に用いるデータを整備した。この結果、クチャ地区においてはスタイン地図に顕著な誤差が存在していることが明らかになった。 この他、クチャの一部地域で遺跡データの照合を進めた。クチャ地区ではスタイン隊の成果のみならず、ドイツ隊とフランスのペリオが行った調査が重要性を持つため、ケーススタディとしてドイツ隊が調査した遺跡についてフランス隊の調査報告と現代中国で行われた遺跡調査報告を照合し、衛星写真上での照合を行った。その結果、河川の両岸に相対応する城塞遺跡が存在することが明らかになるなど、次年度に繋がる成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、これまでの調査成果に基づいて研究成果を提出し、今後の共同研究を行うための基礎的な情報を蓄積することができた。一方、平成28年度に行う予定であった欧州資料調査は、欧州在住の共同研究者が急遽参加不可能になったため、次年度以降に延期せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、夏期に中国現地における古写真資料の調査と、秋期~冬期に欧州における資料調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、共同研究者の予定変更により、当初予定していた欧州資料調査を次年度以降に変更する必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度・平成30年度に多めに欧州調査を行う予定である。
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