研究課題/領域番号 |
16K21483
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岡野 英之 近畿大学, 総合社会学部, 講師 (10755466)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | シエラレオネ / 首長 / 都市青年層 / 紛争後 / 国家 / エボラ出血熱 / パトロン=クライアント関係 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、武力紛争を経験した社会がいかに紛争構造から脱却するのかを明らかにすることである。特にシエラレオネを事例とし、シエラレオネ内戦の要因とされた首長層、および、都市青年層がいかに内戦後に形を変えていったのかを明らかにするものである。 特に注目をしたのが、都市青年層および首長層がエボラ出血熱の流行時にどのような役割を担ったのかである。本企画が採択されたあたりから、シエラレオネはエボラ出血熱の災禍に見舞われている。本研究のための現地調査で明らかになったのは、首長は紛争後に安定した社会地位となっており、地方行政としてある程度、機能していることである。エボラ出血熱の際に、地方行政でどのようなことが起こったのかを明らかにすることは、紛争後に変容した首長の在り方を検証することもつながる。こうしたことから、エボラ出血熱下で何が起こったのかに注目した調査を実施した。 申請者はすでに何度の現地調査を実施し、研究成果の準備に入っている。本年度は、イギリスで開催された国際学会、「第8回ヨーロッパ・アフリカ学会」(the 8th European Conference on African Studies)で発表したほか、編著の一部を執筆した。その一部として遠藤貢・末近浩太編『紛争と国家破綻が問う「国家」』(シリーズ、グローバル関係学)(岩波書店)がある。また、研究成果を多分に反映した新書を創成社から出版するための執筆活動をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に必要な調査はほぼ終えたものの、事実関係の確認など事後調査を実施する必要がある。これまで応募者はシエラレオネの渡航を二回実施し、本研究で必要なデータを収集した。しかしながら、滞在期間が十分でなく、話を聞くはずであった方々に聞き取り調査ができていなかったり、事実の把握のために訪れるべきである地域に訪問できていなかったりする。昨年度に、そうした補足調査を実施する予定であったものの、昨年度はシエラレオネの受け入れ側の都合により、調査をすることがかなわなかった。可能であれば2020年度に実施する予定ではあるが、コロナ禍があるためにそれも危ぶまれている。なお、研究成果の発表は順調であり、本研究で得た成果は着実に発表している。より着実な研究成果の発表のためには、現地調査を今一度したいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は最終年度であったものの、調査の遅れのために補助事業期間延長承認を申請した。本年度は研究成果をまとめると同時に、可能であれば八月に現地調査を実施したいと思っているものの、コロナ禍で難しいかもしれない。なお、研究成果の発表については、論文や書籍の執筆を実施を引き続き実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査が実施できなくなったために、差額が生じた。本年度には現地調査を実施する予定である。
|