本研究の目的は、シエラレオネ内戦の社会的な要因とされている首長層、および、都市若年層の紛争後の変化を追うことである。最終年度である2021年度は、最終成果である書籍の出版作業にあたり、2022年2月22日にナカニシヤ出版から『西アフリカ・エボラ危機――最貧国シエラレオネの経験』として上梓することができた。そもそも本プロジェクトでは、2017年・2018年に集中的にフィールドワークを行う一方、そのデータを補強するための文献渉猟を2019年以降に実施した。こうした調査を踏まえて再度、補足調査を実施する予定であったものの、コロナ禍によって実現不可能により、2年の研究プロジェクト延長をしたものの、さらなる現地調査は不可能でと考え、2020年後半から本書の執筆にあたった次第である。本書は「西アフリカ・エボラ危機」はタイトルではあるものの、本研究プロジェクトの内容には合致した内容となっている。ちょうど本プロジェクト期間中はエボラ出血熱の流行(2013-2016年)が収束した後であったため、本プロジェクトの研究対象であるシエラレオネの首長層および若年層が、エボラ対策に対していかなる役割を果たしたのかを研究することになった。その研究は、おのずと紛争後の首長層、都市若年層の変化を明らかにするものであると考えたからである。その成果が本書であり、その中には内戦後の首長層や都市若年層の変化という本プロジェクトの根幹となる記述も含まれている。本書の出版をもって本プロジェクトの研究は一段落としたい。
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