本研究では発災時の避難行動を指示する避難計画の検討を支援するための避難計画検討システムを提案する.特に検討者である人にとって利用しやすいシステムを提案することを目指し,システムへのデータ入力から出力まで一連の流れを想定したシステムのインタフェース設計について取り組み,避難計画を検討する際に考慮すべき効果的な避難誘導の方法や情報共有についても検討を行った. 本年度はまずこれまでに得られた知見を整理し研究成果を学術論文誌へ投稿することに注力した.その結果,避難計画検討システムの出力インタフェース設計における検討者にとって視認しやすい出力法,および避難者がもつ携帯型デバイスに装備された各種センサーや避難者の行動から避難者の状況を推定し情報共有する手法については国外の論文誌書籍へ掲載され,また避難者がもつ携帯型デバイスを用いることによる避難案内方法についても国内学術論文誌に掲載された. さらにこれらの取り組みから避難行動を始めた避難者の支援については考慮できているが,正常性バイアスなどの影響から避難行動を起こさない者に対して避難行動を促さなければ避難計画の実行性そのものが低下すると考えた.そこで避難行動を促すために,災害発生前に防災意識を向上させるための仕組み,災害発生直後に提供する災害情報のテキスト情報提供デザイン,および避難行動が触発された後に多数派同調性により避難行動を促進させる仕組みについて検討とその効果の検証を行った.これらの研究活動で得られた結果は国内の学会で発表を行い,さらに災害情報のテキスト情報提供デザインについては国際会議での発表,および国内論文誌への採択が決まっている.
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