研究課題/領域番号 |
16K21499
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
坂井 加奈 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (30632096)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リン酸カルシウム / PDMS / コロナ放電 |
研究実績の概要 |
「セメント質・歯根膜・骨」に存在する細胞群が力学刺激を受けた際に相互作用しあうネットワークの解明は、歯根吸収・歯槽骨吸収などの病態解明に道を開きうる。しかし、その特異的研究ツールは乏しく、研究遂行の大きな妨げとなっている。本研究は、申請者が独自開発を進める硬組織模倣シート(高分子膜上に硬組織成分同様のナノリン酸カルシウムを強固に固定したNano-CaP/高分子膜)を応用し、力学的刺激可能な「セメント質・歯根膜・骨」構造を模倣した2次元細胞培養デバイスの創製を目的とする。具体的には、硬組織-軟組織模倣性伸縮シートとその設置アダプタを完成させた後、歯根膜細胞・骨関連細胞・破歯(骨)細胞に伸縮刺激が作用した際に生ずる破歯(骨)細胞誘導ネットワークを精査する。平成28年度は、まず、Nano-CaPと高分子膜の合成と物性評価を行った。 硬組織模倣シートにコーティングするCaPの結晶粒子径と凝集具合は、CaPの剥離のし易さや、力学的刺激受容時の粒子間で起こる破壊頻度に直結する。この課題を克服するためにナノ粒子コーティング法を用いた。CaPは合成後、X線回折、フーリエ変換型赤外分光光度計を用いて結晶学的評価を行った。粒径分布はナノ粒子径分布測定装置、走査型電子顕微鏡にて確認した。Nano-CaPをコートする高分子膜には、伸縮性に優れたポリジメチルシロキサン薄膜を定法で作製し用いた。PDMSの弾性率は原子間力顕微鏡(AFM)にて評価した。続いて、硬組織模倣シート(Nano-CaP/高分子膜)の作製を行った。CaPは未修飾のPDMSと結合性に乏しい事から膜表面にカルボキシル基を持つポリアクリル酸(PAA)の修飾を行い、Nano-CaPを単層付着させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に目標とした、Nano-CaP結合高分子シートの準備がおおむね終了したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に目標とするNano-CaP結合高分子シートを装着させるアダプターの改良と、培養実験に着手する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
Nano-CaP結合高分子シートを装着するアダプタの作製が継続中であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
Nano-CaP結合高分子シートを装着するアダプタの作製を継続する。
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