研究課題/領域番号 |
16K21505
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
城下 英行 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (10581168)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 防災学習 / 科学コミュニケーション / 教育実践 / 社会構成主義 |
研究実績の概要 |
今年度も、前年度と同様に理論研究を実施しつつ、社会構成主義学習観に基づいた防災教育実践を実施した。今年度は、大阪府泉大津市の小学校と大阪府高槻市の中学校を主なフィールドとして防災学習プログラムを実施した。前年度に引き続き、学習プログラムでは、専門家/市民や教師/児童・生徒といったような固定された関係性を変革し、これまで一方的に教えられる側であった人々(市民、児童・生徒など)が持つ防災の知恵を発見することを目指した。 具体的には、泉大津市においては、小学5年生の児童らが災害時の外国人支援をテーマにフィードワークを行い、そこで発見した課題を解決するための「二カ国語防災ポスター」と「防災に関する英語表現集」の作成を行った。そこでは、例えば、災害時に外国人は言語の問題に直面するであろうと予想して、言語翻訳アプリを紹介するポスターが制作されたり、鉄道会社の駅員が津波からの避難誘導に用いるであろう英語表現が検討されたりするなど、災害時の外国人に必要と考えられる支援の方法が小学生の視点で検討されている。これらのポスターや表現集は、実際に市役所や病院、鉄道駅などに配布した。 高槻市では、2018年の大阪府北部地震を経験した中学1年生が、未来に残したい災害の教訓を防災ゲーミングの形式で整理した。また、それらの教訓を未来に残したいものとして選択した理由などを動画にまとめることで、当該ゲーミングの解説ビデオも制作した。さらに、実際に地域住民や地域の小学生とともにゲーミングを実施し、中学生が重要と考える災害の教訓を共有することを試みた。 以上に加え、主に理論研究の内容について学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、社会構成主義学習観がわが国のような先進国に限らず、発展途上国における防災対策推進の観点からも有効であることを示すために、平成30年度にネパール国をフィールドに防災教育実践を実施する予定であった。しかしながら、先方との調整に時間を要し、年度内の実施が難しくなったことから、次年度に実施することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に実施予定であったネパール国における防災教育実践が未完了であるので、引き続き、ネパール国の研究協力者と連携を図りながら、防災教育実践を実施する予定である。なお、ネパール国には、申請書に記した研究協力者以外にも協力を得られる見込みのある協力者がいることから、そうした協力者にも連絡を取りつつ、年度内の早い段階に防災教育実践を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、今年度は、ネパール国において防災教育実践を行う予定であったが、延期となり、旅費の所要額が少なくなったため次年度使用額が生じた。次年度は、ネパール国において防災教育実践を実施予定であるので、次年度使用額はネパール国における教育実践実施に係る旅費に充当する。
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