研究実績の概要 |
EGFR-TKIに耐性を示した後にニボルマブを使用したEGFR変異陽性非小細胞肺がん25例の有効性および免疫関連因子を検討した。25例全例でT790M変異検索が行われ、8例がT790M変異陽性であった。T790M陰性症例は陽性症例と比較して無増悪生存期間(PFS)及び奏効率ともに良好な傾向が認められたのに加え、PD-L1の発現もT790M陰性症例で高い傾向であった。また、PD-L1の高発現例では、有意差をもってニボルマブの奏効率が改善した。さらにEGFR-TKI耐性後でT790M変異検索が行われている60例においてPD-L1発現およびCD8、FOXP3陽性のTリンパ球を免疫染色において評価したところ、T790M変異陰性例においてPD-L1発現率が高い傾向を認め、有意なFOXP3陽性Tリンパ球の減少を認めた。また、ニボルマブ使用症例9例(うち奏効例3例)の全エクソーム解析にてnon-synonymous mutation数を評価したところ、奏効例では有意にmutation数が高値であった。EGFR-TKI耐性症例に関しての耐性機序毎の抗PD-1抗体の有効性やnon-synonymous mutationを評価した初めての報告であり、Annals of Oncology誌に採択され報告した(Haratani K, Hayashi H, et.al Ann Oncol. 2017 Jul 1;28(7):1532-1539. doi: 10.1093/annonc/mdx183.)。
加えてEGFR経路のMAPK経路を介した活性化により、腫瘍のMHC class 1発現が抑制され、こちらに対してEGFRの阻害およびMAPKの阻害がMHC class 1の発現回復に繋がる事を in vitroにて示しており、こちらに関しても論文投稿中である。
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