研究課題/領域番号 |
16K21522
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
上椙 英之 神戸学院大学, 現代社会学部, 研究員 (50600409)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デジタルアーカイブ / 考古学 / 金石文 / 防災 / 津波 |
研究実績の概要 |
代表者はこれまで、風化して撮影画像に写らなくなってしまった金石文を、判読可能な画像で取得・保存するための画像取得方法・画像処理方法に関する基礎的かつ開発的な一連の研究を進めてきた。 先ず、斜光撮影を利用して陰影から文字を抽出する撮影方法と、過去の解析データから適切な画像処理方法を提案・実行する解析型データベースを開発し、次に、将来の文字の自動認識を可能とするための、抽出した文字画像の二値化とノイズ除去方法の開発と、風化の酷い金石文から、残された字形の掘り込みの深さや線形を利用して文字を復元する解析手法を開発してきた。 しかし、風化の酷い金石文から、残された字形を利用して文字を復元するには、石碑それ自体の情報だけでは予測される文字数が多過ぎるためうまくいかなかった。 そこで、実際の石碑調査では調査者が熟達してくると文字が不鮮明な場合でも、年号・人名・願文といった文字列の性格や、地域の社会構造、石灯籠か一石五輪塔かといった石碑の種類など、文字情報以外の石碑の副次的な情報を補助として文字を判読していることに着目し、この副次的情報の利用をデータベースに組み込むことで、文字情報が大幅に失われた金石文の予測精度を向上させることが可能であると考えている。 平成28年度は、金石文用例辞書作成の為の金石文のデータ登録と金石文予測に影響を与える副次的情報の検討の為のデータ入力を行った。 現在、高知県の宿毛市・土佐清水市・四万十市・須崎市・土佐市・高知市・南国市・香南市・安芸市・室戸市・安芸郡の石造遺物データを、災害碑を中心にデータベースに登録が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では高知県の宿毛市・土佐清水市・四万十市・須崎市・土佐市・高知市・南国市・香南市・安芸市・室戸市・安芸郡、および徳島県の海部郡・阿南市・小松島市・徳島市・鳴門市のデータ入力を目標としていたが、現時点で高知県のデータ入力のみが完了している。 しかし、この遅れは、予備調査として東北の石碑の調査を優先したためと、作業効率化の為の入力用のシステムの作成と、調査のマニュアル作りに時間を割いたために発生したものであり、次年度以降は当初の計画以上の入力が可能と思われるため、順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は、徳島・兵庫・大阪・和歌山・三重・愛知のデータ入力とともに、金石文用例辞書の為のデータベース作成に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、徳島県・高知県の2県のフィールドワークを計画していたが、予備調査として東北地方の災害碑の調査を優先したため、旅費の費目において予算に差が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、計画通り南海・東海のフィールドワークを行うため、予算はその際に執行する。
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