研究課題
プレート収束域で形成される地質体の形成プロセスを明らかにし、そこから「構造浸食作用」の実態を探るため、白亜紀地質体(日本)や太古代地質体(南アフリカ)を例に研究を行ってきた。研究手法として、古典的岩石学や岩石中に普遍的に含まれる「ジルコン」鉱物の放射性年代学的・地球化学的手法を用いた。以下にこれまでの研究で得られた結果の概要を記す。①瀬場エクロジャイトの変成年代:白亜紀高圧変成岩である三波川変成岩の最高変成度部の変成年代の特定のため、瀬場エクロジャイトのジルコンU-Pb年代および微量元素分析を行った。その結果、約90Maごろに沈み込み、その直後にエクロジャイト相変成作用を被ったことが分かった。②五良津および権現エクロジャイトの変成年代:三波川変成岩の最高変成度部の変成年代の特定のため、五良津および権現エクロジャイトのジルコンU-Pb年代および微量元素分析を行った、その結果、瀬場エクロジャイトよりも早く約130Maごろから沈み込み、約120-90Maの間エクロジャイト相相当の深部で停滞していたことが分かった。③三波川変成岩沈み込み開始時期の特定:沈み込み時期の特定のため、変成岩中の砕屑性ジルコンのU-Pb年代測定を行った。その結果、一部の三波川変成岩を除き、その多くは100-90Ma以降に海溝から地球深部へ沈み込んだことが分かった。④関東産地三峰地域に産する時代未詳変成岩の沈み込み・変成年代の特定:沈み込み・変成年代の特定のため、ジルコンU-Pb年代および白雲母のK-Ar分析行った。その結果、予察的ではあるがこの地域は堆積・変成年代の全く異なる2つの変成岩が接合している可能性があることが分かった。⑤バーバートン緑色岩帯の最高圧力変成時の温度圧力条件の特定:ラマン分光解析と岩石熱力学解析からその条件は 圧力10-12.7kbar、温度600‐680℃であることが分かった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
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