これまでに実施していた共作業に焦点をあてた訪問作業療法プログラムの効果についての事例報告を論文化した(作業療法.39(2),210-216).本報告では,認知症高齢者を介護する家族介護者に対し,共作業支援尺度をもとに評価を行い,改善したいと考える共作業を明確にした上で訪問作業療法を事例報告として2例の成果を発表した.共作業の介入を行うことで,認知症高齢者のBPSDの軽減,家族介護者の介護負担の軽減を"臨床における最小重要差(Minimally Important Difference)"の観点から示すことができ,認知症高齢者,家族介護者双方への効果を確認することができた. 一方で,共支援尺度の共作業継続意志の質問項目の改変を研究実施計画に入れていたが,質問項目を挙げるための情報収集に時間がかかってしまい,期間内の研究協力者との会議の開催が困難となったことにより,改変の作業を終了することができなかった. しかしながら,研究最終年度の成果報告として,1冊の冊子を作製した.本冊子には,本研究で培った"共作業支援尺度の使用方法""介入すべき共作業の側面""認知症高齢者・家族介護者の特徴"の章立てを行い,本冊子を理解することで,本研究で実施した共作業への介入が可能となるものとした.本冊子の公表方法として,本研究の対象となる認知症高齢者と家族介護者との関わりが多い介護老人保健施設に郵送し共作業への介入の可能性を拡げた.
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