研究実績の概要 |
本研究の目的は,半側空間無視(Unlateral Spatial Neglect,以下:USN)に対する聴覚を用いた音源位置を探索する音源定位課題の効果を明らかにすることである(研究1).また,音源定位課題実施時の脳血流動態の変化について,脳機能イメージング分析を用いて明らかにする(研究2).従来のUSNに対するリハビリテーションは視覚を用いた介入効果の検証が多いが,聴覚刺激を用いた介入効果(特に音の方向性を用いた課題:音源定位)を検証したものは少ない.本研究で実施している課題は非常に簡便かつ短時間で実施可能であり,視覚以外の感覚様式を用いた介入方法としてUSNのリハビリテーションの発展に貢献できると考える. 研究1について,現在研究協力施設である4施設にてランダム化比較試験を実施している.主要outcomeはBehavioural inattention testの通常検査,副次outcomeは簡便な音源定位検査とCatherine Bergego Scaleとし,評価時期をbaseline,post,follow up(2W,4W)とし実施している.本年度5月が最終的なリクルート期間となっている. 研究2については,光トポグラフィ装置(ETC-4000:HITACHI)を用い音源定位課題遂行時の脳血流量の変化について,脳皮質関心領域を右頭頂葉~側頭葉に限局し計測している.課題はブロックデザインにてtask課題を3条件(定位なし,開眼での音源定位,閉眼での音源定位)にて計3施行実施している.現在データ収集中で10名の健常成人に対し計測を終えている.
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