研究実績の概要 |
本研究の目的は,半側空間無視(Unlateral Spatial Neglect,以下:USN)に対する聴覚を用いた音源位置を探索する音源定位課題の効果を明らかにすることである(研究1).また,音源定位課題実施時の脳血流動態の変化について,脳機能イメージング分析を用いて明らかにすること(研究2)である.USN患者に対する視覚以外の感覚モダリティを使用した介入方法の報告は非常に少なく,視覚刺激を利用したものが多い.本研究によって,音方向の探索行動が視覚的なUSN症状に良好な変化を与えることが立証できれば,多くの日常生活や社会活動において多くの障害を生じているUSNのリハビリテーションの発展に大きく貢献できるものと考えている. 2019年度の活動に関して,研究1で実施している多施設共同によるランダム化比較試験では,2018年度まで被験者のリクルート期間を延長したものの,最終的には目標としていたサンプルサイズには至らなかった.したがって,現状収集可能であったデータ数にて解析を行い,成果報告として論文執筆に着手した. 研究2については,2018年度までに被験者10名に対して光トポグラフィ装置(ETC-4000:HITACHI)を用い,音源定位課題遂行時の脳血流量の変化について検証した.その結果,脳皮質関心領域である右頭頂葉間領域の血流量は増加したことを確認している.しかしデータ解析が不十分であったため,2019年度は再度データ処理および解析をおこない,執筆・成果報告の準備を行った.
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