• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

関係的・代数的手法による確率的システムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K21557
研究機関崇城大学

研究代表者

津曲 紀宏  崇城大学, 総合教育センター, 助教 (70632834)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード確率的システム / 意味論 / 関係理論 / 圏論 / 代数
研究実績の概要

本研究の目的は,確率的システムのための定量的な検証手法を提供しうる代数を提案することである。そのため本研究では,セガラシステムの等価性について健全かつ完全な公理系の構築とその公理系の有効性の確認を行うことにしている。今年度の研究成果は下記の通りである。
1.セガラシステムの特殊な例である確率多重関係について,システムの逐次合成などの演算を関係理論の枠組みで解析した既存の結果 [Tsumagari et al, JLAMP, 2014]を拡張することに成功した。ここでは「全域性」という条件を排除するという一般化を行っており,近日中にその研究結果をまとめ発表する予定である。
2.1の結果は,[Furusawa et al, RAMiCS, 2015]の結果を拡張することで与えられた。具体的には,確率多重関係における逐次合成を,二項多重関係のPeleg合成の一般化として与えた。この二項多重関係について,Kleisli合成・Parikh合成・Peleg合成に関する議論をより深めた論文を投稿中である。また,同内容については国内研究集会で口頭発表を行っている。
3.1,2の過程で,関係理論における選択公理の取り扱いが問題となった。そこで,関係計算の抽象化であるデデキント圏にいくつか公理を加えたカントール圏を提案し,カントール圏において選択公理を形式化した。また,この枠組みにおいて,選択公理とツォルンの補題の等価性についても明らかにした。この研究成果は論文にまとめられ,現在投稿中である。
4.2で扱った二項多重関係は2人ゲームの意味論やプログラムの述語変換子意味論など,様々な文脈で登場する。種々の多重関係を包括的に扱うべく,圏論を用いた一般化を行い,多値多重関係を提案した。未確認ではあるが,確率多重関係など確率システムのモデルも多値多重関係の具体例であることが予想される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成28年度は確率的システムのモデルの1つであるセガラシステムについて,その軌跡意味論に対する確率的正規表現を提案する予定であったが,セガラシステムの特殊な例である確率多重関係の解析が進んだためこちらを優先する形となった。また,その結果は二項多重関係という確率的ではないモデルに関する結果の一般化となっており,確率に付随する定量的な要素が現れる箇所を特定したという見方もできる。また,その他にも複数の関連研究で成果が出ており,申請時の計画からは遅れが生じているものの,今後の計画遂行に有用な結果が得られている。

今後の研究の推進方策

今後は,既定の路線に戻り,前年度までに遂行できなかった研究を行う。具体的には,以下のことを追究する。
1.セガラシステムの等価性に対する確率的な正規表現を提案し,システムと正規表現の間のクリーニの定理を証明する。証明が困難である場合は正規表現を随時改善する。
2.正規表現上の公理系として,等式・ホーン節の集合を与える。公理系の構築は,McIverらの確率クリーニ代数 (pKA) や研究協力者の知見を参考にしながら行う。また,与えた公理系の健全性・完全性を証明する。
3.新しい代数を用いた自動定理証明などの実験を行ない,代数の有効性を確認する。実験ではIsabelleやProver9などの自動定理証明器を用いる。

次年度使用額が生じた理由

以下の事由により,使用計画が変更されたため,差額が生じることとなった。
・研究打ち合わせのための海外渡航を予定していたが実現しなかった。
・次年度購入予定だった物品を前倒しで購入した。

次年度使用額の使用計画

国際会議出席のための海外渡航費の一部とする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] University of Sheffield(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Sheffield
  • [学会発表] 多重関係の合成とリフティングの関係的形式化2016

    • 著者名/発表者名
      津曲 紀宏
    • 学会等名
      記号論理と情報科学研究集会 (SLACS) 2016
    • 発表場所
      名古屋大学VBL(ベンチャービジネスラボラトリー)(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2016-08-25 – 2016-08-26
  • [備考] 崇城大学・研究業績データベース

    • URL

      http://rsrch.ofc.sojo-u.ac.jp/sjuhp/KgApp

  • [備考] 研究代表者の個人Webページ

    • URL

      https://sites.google.com/site/tsumagari83/

URL: 

公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi