最終年度は、食生活リテラシーの向上に関連するコンテンツ(情報の内容)と健康教育による影響について検討した。2018年10月と2019年10月の1年間の縦断調査を行った。食生活リテラシーの向上に有効なコンテンツとして食知識(栄養素の知識、食品の知識、料理の知識、食事の知識、健康管理の知識)と食態度(食情報の検索・活用の態度、食事と栄養のバランスへの態度)の変化を調査した。健康教育については1年間における専門家による健康や栄養に関する教育(1対1の教育回数と講演や教室への参加)回数を調査した。食生活リテラシー尺度の変化量と食知識(栄養素の知識、食品の知識、料理の知識、食事の知識、健康管理の知識)および食態度(食情報の検索・活用の態度、食事と栄養のバランスへの態度)の変化量に有意な関連が認められた。一方で、1年間で専門家から受けた健康や栄養に関する教育回数との関連は認められなかった。食生活リテラシーの向上には、健康教育を受けた回数ではなく、食知識および食態度の向上が必要である可能性が示された。 研究期間全体を通して、食生活リテラシーに関連する要因と食生活リテラシー向上のための有効なチャネルおよびコンテンツについて検討した。成人期の食生活リテラシーは、子どもの頃の家庭における食教育や現在の食環境が関連している可能性が示された。また、食生活リテラシーの向上には、食知識および食態度の向上が必要であり、そのための有効なチャネルは、男性では「医療従事者・専門家」「友人・知人」「インターネット」、女性では「友人・知人」「インターネット」という複数の情報源を組み合わせた情報提供が有用である可能性が示された。
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