本申請では流体構造連成計算に対して研究室レベルのワークステーションでもスーパーコンピュータに匹敵する超高効率計算が可能なシミュレーション技術の構築を目指した. 研究目的を達成するための具体的な項目は以下の3つであり,[1]超効率計算システムのための3つのアルゴリズム「移動埋め込み格子法」,「移動計算領域法」,「スライディングメッシュ法」の作成,及び,統合,[2]正確な物体変形の構造計算の手法の調査とアルゴリズムの開発,[3]研究室レベルでの大規模計算システムの検討である. 項目[1]においては,当初の計画では3次元計算を目指しており,「移動埋め込み格子法」,「移動計算領域法」の2つについては3次元計算が可能となった.しかしながら「スライディングメッシュ法」に関しては2次元計算にとどまった.項目[2]においては,項目[1]の「スライディングメッシュ法」の3次元化の検討に多くの時間を費やしたため構造計算については開発ができず,文献調査のみにとどまった.項目[3]においては,非圧縮性流体の並列計算手法の一つであるドミノ法を開発している.本研究期間中に,項目[1]にドミノ法を組み込んだ.その結果,研究室PCレベルのCPUを用いて最大3.64倍の計算スピードを得ることができた. 今後の展望として,項目[1]については「スライディングメッシュ法」の3次元化を目指す.これができるようになれば,現実の物体周り流れを効率よく計算できると考えている.項目[2]については項目[1]が出来次第行う予定であるが,場合によっては項目[1]と同時進行で行っていきたい.項目[3]についてはCPUによる並列化の他にGPUによる並列化がより効率の良い手法であることがわかってきているので,GPUによる並列化を目指す.
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