研究実績の概要 |
2017年度では、地域一人暮らし高齢者の置かれている食環境について検討を行った。過年度までに調査協力の得られた地域一人暮らし高齢者123名を対象に、食品購入店までの時間および移動手段、また買い物頻度について調査を行った。また、身体計測を行い、日常生活活動テスト(ADLスコア)および体重変化の状況については質問紙法による調査を行った。 解析対象者の平均年齢は79.1±5.5歳、買い物頻度は週5回以上の者が43名、週5回未満が80名であった。ADLスコアの平均は、26.3±4.7であった。単変量回帰分析の結果、買い物頻度とADLスコアは有意に関連していた(β=-2.348, 95%CI: -4.074 ~ -0.622, p=0.008)。さらに年齢及び性別の調整後による重回帰分析においても買い物頻度とADLスコアは有意に関連していた(β=-2.301, 95%CI: -4.048 ~ -0.555, p=0.010)。買い物の移動手段が徒歩である者は73名、徒歩以外の者は50名であった。過去3か月以内に3kg以上の体重変化があった者は25名、なかった者は98名であった。買い物移動手段と体重変化の有無には有意な関連がみられた(粗オッズ比:2.70, 95%CI: 1.10 ~6.64, p=0.031)。さらに、年齢及び性別の調整後のオッズ比においても有意な関連が認められた(調整オッズ比:2.68, 95%CI: 1.04 ~ 6.96, p=0.042)。本調査の結果から、地域一人暮らし高齢者の買い物頻度と日常生活活動、また、買い物移動手段と体重変化の有無との間に有意な関連がみられた。このことから、地域一人暮らし高齢者を取り巻く食環境が地域一人暮らし高齢者の身体状況に影響を与えていることが明らかとなった。
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