研究課題/領域番号 |
16K21570
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
永井 翠 東京工業高等専門学校, 電子工学科, 助教 (60591154)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体計測 / EMG / ヒューマンインターフェース / EEG |
研究実績の概要 |
筋電義手としてよく用いられているものは,腕から欠損している場合や手全てを欠損しているものである.その成果に基づいて,(EMG)と脳波(EEG)の両方から「強く握る」,「弱く握る」といった識別動作を検出し,手指義手の制御を行う.訓練等が少なく子供でも使用できる「強く握りたい」,「弱く握りたい」と考えることで手指義手の制御が行える義肢作製を検討している.平成28年度は,EEGとEMGを計測し,解析を行い「強く握る」,「弱く握る」といった動作において識別する信号を特定することであった. まず,「強く握る」はペットボトルをひねって空けるや,フォークを押さえるなどの動作とした.「弱く握る」は軽いものをつまむなどの動作とした.これらの動作において,EEGとEMGを健常者と手指欠損者の計測を行った.健常者においてEMGについては,「強く握る」,「弱く握る」といった特徴的な波形の特定ができた.現在,手指欠損者のデータと比較を行っているところである.この結果より,「強く握る」「弱く握る」といったそれぞれの動きに対して,筋電図より判別が可能となった.このことについて、今後論文等へまとめる準備を進める。 EEGについては,以前から使用している脳波計を用いて手指の本数に注目し脳波特徴の解析を行っていた.手指の本数で,特定の部位において運動前に脳波に変化が確認できた.運動前の波形で違いが見られたことで,どの指を動かしたいのか判別可能となる.そうすることで,どの指が欠損している方でも使用可能な義手の制御に応用可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れていると評価した.その理由としてEEGが上げられる.EEGにおいて,購入時期が少し遅くなってしまった.また,協力者である学生と共に,安定したEEGが計測できる手順や環境作成に時間がかかった.電極数が多くなったので,解析プログラムの書き換え等も行っていた.そのため,EEGの計測できた人数が少なくなってしまった. 予期せぬこととして,指欠損者である1名が高齢のため亡くなられたため,被験者が減ってしまった.しかし,1名の欠損者については今後も協力をお願いしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定は,手指欠損者の意見を基に,義手製作を行う.前年度に特定した信号で必要なEEG,EMG のそれぞれの電極数を基に,データを取得し,作製した義手を動かす.義手の動きが,「強く握る」,「弱く握る」といった違いを反映できるよう制御を行うことである. EMGにおいては予定通り,義手を動かすといった研究を進めていく.そのためには,指欠損者の協力が不可欠であるため,協力者と共に指欠損者と連絡,計測をさせていただくように伺う予定である. EEGについては,遅れがみられるため,申請者の修了大学院である鹿児島大学理工学研究科の王教授,岡村助教に進度についてアドバイスを頂くことになっている.現在の遅れを取り戻しいきたい。EMGを計測するときに行った動作について、特徴的な波形の特定を進めていく.そのために、動作前のEEGが必要となる。被験者にどのような課題が一番いいか、先生方とよく相談し、効率よく進めていきたい。また、多くの被験者計測を行い,最終的には指欠損者の計測も行う。 義手作成で使用する3Dプリンタについては,協力者が扱えることが確認できているため,可能であることが確認できている.
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次年度使用額が生じた理由 |
指欠損者との打合せをメールや電話等を用いて行ったことにより、旅費・人件費が少なくなった。3月に学会参加を予定していたが、要旨締切までにはまとめることが出来ず、次の学会参加となったためである。 また、脳波計測を行うための消耗品は計測回数が少ないこともあり、使用量が思ったほど多くなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、アドバイスを頂くため鹿児島大学へ訪問する。また、指欠損者の方が、大分高専にいるため、そこへ、協力者と共に訪問する予定である。また、ライフサポート学会第27回フロンティア講演会で発表をする。また、ライフサポート学会に論文を投稿予定である。これらの目的のため、予定より旅費、人件費が必要となる。また、EEG計測のための消耗品のためその他の費用が必要である。
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