本研究では、防災都市づくり計画を活用した減災型都市計画の実現方策を検討するにあたり、以下の2つの研究目的を達成することで、都市計画区域に拘らない減災型都市計画の実現方策に関する基礎的知見を得ることを目的としている。 研究目的1:「全国的な防災都市づくり計画の運用実態の解明」 平成28年度・29年度の研究成果を踏まえ、地域防災計画や都市計画マスタープランに防災都市づくり計画の内容が反映されている事例を抽出し、現地調査や担当部局に対するヒアリング調査を実施した。これにより、都市計画マスタープランや地域防災計画の改訂時期と防災都市づくり計画の策定・改訂時期が同時期であれば、内容を双方に反映しやすいことが明らかになった。また、計画対象地域に具体的な災害リスクがあることを災害危険度判定調査などから明示することで、具体的な連携に結びつきやすことも明らかになった。 研究目的2:「都市計画区域外での減災に資する建築物形態制限の実態の解明」 平成28年度・29年度の研究成果を踏まえ、都市計画区域外に指定されている建築基準法第22条に基づく区域の防災都市づくり施策上の位置づけを整理した。その結果、都市計画区域外に指定されている区域は、建築基準法が施行された時期に指定されている区域が多く、大半の区域ではその後見直しが実施されていない状態であることが明らかになった。また、防災都市づくり計画の内容に22条区域を反映している自治体はなく、地域防災計画の内容にも反映している自治体は少ないことが明らかになった。 以上の分析と平成28年度・29年度の成果をもとに、都市計画区域外も含めた減災型都市計画を実現するための検討を進め、防災都市づくり計画が果たす役割などを考察した。
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