研究課題/領域番号 |
16K21582
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研究機関 | 弓削商船高等専門学校 |
研究代表者 |
前田 弘文 弓削商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10541930)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レスキューロボット / 船舶火災 / 自己位置推定 |
研究実績の概要 |
フェリー火災において,探査活動を可能とするために,レスキューロボットが船舶を隈無く探索するために小型化が必要不可欠である.しかし,船舶は一般の建造物に比べて狭い場所が多く,従来のレスキューロボットでは小回りが利かない恐れがある.そこで,瓦礫などの走破を必要としないことを考慮し,モータをDCモータからRCサーボモータへ変更することで自重を抑え,バッテリの小型化に結びつけるとともに,ロボット本体も大幅な小型化を行う必要があった. 昨年度は,この小型化に向けたレスキューロボットの試作を7度に渡って行った.まず,RCサーボモータに変更することで,制御部およびモータドライバ部をモータ内部に格納することでき,省スペースでかつ軽量化を行うことに成功した.しかし,大幅な軽量化を行うためにはこれだけでは不十分である.そこで,材料の選定やプーリーの設計・自作によってさらなる軽量化を図った.また,ロボットに用いられる駆動部のシャフトおよびモータのケースをロボット全体の強度を保つ用途に用いることで,本体強度維持のために用いられる材料を大幅に減らし,軽量化することに成功した. 次に,自作プーリーを用いたことで,市販品との若干の違いが生じた.そのため,計算で求めた理論値では,十分にベルトを張ることができないことが判明した.そこで,ベルトの張りを実際にみるために,実験装置を作り理論値との比較を行った.この内容については,3月に行われた学会発表にて公開した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,初年度に波の計測および解析を中心に研究を行い,併せてレスキューロボットの試作を行う予定であった.しかし,レスキューロボットの設計を行う段階で,放電加工にかなりの時間を有することが判明したため,波の計測はテストレベルとし,レスキューロボットの試作に重きを置くこととした. 試作はこれまでに,7回行い,全体の方向性が定まったものの,まだトルク不足の問題,ベルトの張力の調整などがあるため,本年度も引き続き改良が必要となる. 進捗は現在,やや遅れているものの,これは試作回数を重ねたことによる加工時間的問題であり,許容範囲であると考えられる.また,試作を重ねることで改良が続いており,結果的に最終年度の実験をスムーズに行うための準備となり,大幅な予定変更を行うことなく,十分に研究を遂行できると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の前半は,レスキューロボットの試作を終え,レスキューロボットの試作を完成する予定である.夏休みから後半にかけては,波の解析に重点を置きながら,最終的なレスキューロボットの作成および動作確認,細かい部分のマイナーチェンジを繰り返し,年度末にテストフィールド施設にて,ロボットの最終評価を行えることを目指す. 本研究をする上で問題となる点は,加工時間および試作回数,天候による実験の中止が考えられるが,ロボットの開発と波の解析は切り離して行うことができるため,徹底したスケジュール管理によって,無駄なロスタイムを生むことなく,研究を進めていけると考えている.また,伝送部分やソフトウェア部分の開発を前倒しにすることでも,スケジュールの調整が可能であると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
レスキューロボットの試作を行う上で,試作回数が定まらないことから,最終的な金額が確定できなかった.そこで,ぎりぎりまで試作を繰り返すために,昨年度購入予定であったロボットの操作卓システムの購入を本年度に持ち越すこととした.今は既に,そのシステムに必要な物品を購入しており,現在試作機で問題となっている部分の修正費を合わせると概ね昨年度の予算は使用したこととなる.よって,予算額は問題なく計画通りといえる.
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次年度使用額の使用計画 |
既に述べたとおり,昨年度分の予算は使用済みである.本年度予算については,研究計画通り,レスキューロボットの完成に向けて必要な物品の購入を考えている.
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