湖沼・内湾など閉鎖性水域の水質を保全・改善するためには,各種発生源からの汚濁負荷物質の排出・流出を抑制することが重要である.そのため日本各地では下水処理場などの設備が整備され,現在更新や再整備等が検討されている.しかし,人口減少期を迎え,発生負荷量が想定を下回ったり,インフラの維持・管理費用が不足したりするなど,整備当初とは想定外の事態となり,排水処理施設を将来どのように維持するかが課題となっている.そこで本研究では,国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計を高精細化した将来人口推計を用いて,将来の生活系汚濁負荷発生量を推計するとともに,生活系排水処理施設の維持・管理費を積算することで,将来の生活系排水処理施設の再整備・維持管理費の関係を考慮した水環境管理シナリオを提案する. 一昨年度,研究成果の取りまとめの一環として行った学会発表の際に専門家の方から,本研究の目的を達成にむけたより精緻な手法の提案をいただいた.その方は実務者であり,ご提案いただいた手法は未発表であったため,ご本人から直接ご指摘いただくまでその手法を知る機会が無かった.ご提案いただいた手法の実施にむけて,追加で必要となったデータの収集を行うとともに分析に着手した.
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