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2016 年度 実施状況報告書

堆肥発酵熱発生メカニズム解明のための生物化学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 16K21607
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

小島 陽一郎  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門 飼養管理技術研究領域, 主任研究員 (80577916)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード堆肥発酵熱 / 有機性廃棄物 / 酸化還元状態
研究実績の概要

本年度は,既有の実験室規模堆肥化装置(10L)を用いて,土壌用酸化還元電位(ORP)計により堆肥原料の酸化還元電位を直接測定できる測定系を構築した。土壌用酸化還元電位のセンサ部をスポンジ様資材で覆うなどの条件を検討した結果,センサを直接原料に埋設することによって測定可能であることが明らかになった。また,これにより,乳牛ふんを用いた一般的な堆肥化条件において,既往の研究で知られている37℃と55℃の微生物活性が高まる温度域において,酸化還元電位が急上昇することが確認された。また,堆肥化過程における熱発生速度を用いた既往の研究,40~50℃の温度域で熱発生が停滞することが示されているが,本酸化還元電位測定手法では,当該温度域においても酸化還元電位の急上昇はみられないものの,37℃と同水準の酸化状態が観察された。一方,堆肥原料温度が65℃のピークに達するとほぼ同時に,酸化還元電位もピークに達し,その後,温度及び酸化還元電位が低下した。つまり,65℃を超過すると活性が低下し,酸化状態が停滞もしくは緩和されることが明らかになった。一方,通気開始直後,温度上昇が始まるまでに一時的な還元状態が観察され,局時的な嫌気条件になっている可能性が示唆された。
また,微生物活性測定装置を用いて,堆肥由来微生物の測定条件を検討した結果,家畜ふんから作製した抽出培地に,堆肥化過程の原料から採取した微生物を接種することにより測定することとし,その調整方法を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は,当初計画通り土壌用ORP計を用いた堆肥化過程における原料の酸化還元電位の推移を直接測定できる測定系を構築した。それに加えて,次年度に先駆け,特定条件において,既往の研究で知られている微生物活性の高まる温度域での酸化還元電位の変化を明らかにした。
また,堆肥由来微生物による有機物の分解に関して,測定条件を明らかにしたものの,微生物によるふん尿分解に伴う熱発生の解明にはまだ至っていない。
以上より,全体を総括して,「(2)おおむね順調に進展している。」と評価した。

今後の研究の推進方策

次年度は当初計画通り,異なる堆肥化条件における堆肥化過程における原料の酸化還元電位を測定するとともに,発生するガスや熱も継時的に測定することで,堆肥原料の酸化還元状態が堆肥発酵熱の発生に及ぼす影響を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

当初予算には,微生物活性測定装置のレンタルを予定していたが,申請後所内予算により購入できたため,レンタル費用(300千円)および測定用器具の一部(150千円)を科研費により手当てせずに良くなったため,必要経費が未使用となった。

次年度使用額の使用計画

微生物のふん中有機物分解による発熱特性については,まだ明らかになっていない部分があるため,追加の試験研究費として使用する他,連続式堆肥化装置の購入補助として使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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