アブラナ科作物の重要害虫であるコナガについて、長距離移動の実態を明らかにすることを目的とし、気流によるコナガの受動的飛行についての流跡線解析を行った。野外トラップ調査からコナガは日没直後に活動ピークを迎えること、風洞での受動的飛行行動の観察実験から、向かい風に反応して24時間以上休むことなく羽ばたき続けることがわかった。これら生態学的情報をもとに、HYSPLITを用いた流跡線解析を行った結果、2017年4-5月の2か月間で4日間だけ、越冬可能地から非越冬地である盛岡へのコナガの長距離移動が可能となる流跡線を引くことができた。また、その長距離移動のスケールは数百~千km程度であると推定された。
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