本州産と沖縄産のチャバネアオカメムシとそれぞれの共生細菌は入れ替えることが不可能であった。この理由を調査したところ、共生部位への侵入の可否が重要であることを示すことができた。この共生部位への侵入には昆虫免疫、特に液性免疫が関与している可能性が示され、チャバネアオカメムシの免疫を調べた。カメムシ目昆虫ではいくつかの種が代表的な液性免疫に関する経路であるIMD経路を失っていることが知られていたが、チャバネアオカメムシはショウジョウバエなどと同様にIMD経路、toll経路共に持っていた。さらに詳しく調べると、IMD経路とToll経路はちゃんと働いて抗菌ペプチドの産生に関わっており、IMD経路とToll経路は相互作用が強く見られた。この相互作用は他の昆虫ではわずかにみられる程度だが、チャバネアオカメムシではかなり相互作用が強く起こっていることが示された。この経路間の相互作用が共生細菌とどのように関与しているかは未だ不明だが、これらの興味深い現象について現在論文化を進めている。
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