研究課題/領域番号 |
16K21616
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研究機関 | 茨城県霞ケ浦環境科学センター(湖沼環境研究室、大気・化学物質研究室) |
研究代表者 |
長濱 祐美 (名尾祐美) 茨城県霞ケ浦環境科学センター(湖沼環境研究室、大気・化学物質研究室), 湖沼環境研究室, 技師 (00618506)
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研究期間 (年度) |
2017-02-07 – 2019-03-31
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キーワード | Microcystis / 底泥 / 栄養塩 / 分解 |
研究実績の概要 |
気候変動に伴う気温と日射量の上昇がアオコの発生頻度を促す可能性が指摘されている。霞ヶ浦ではMicrocystisを主とするアオコが夏季に発生するが,生態系に与える影響については不明である。Microcystisが生態系へ与える影響は,生食連鎖よりも腐食連鎖を通じている可能性が示されたことを受け,本研究では,底質表層に堆積したアオコ形成藍藻Microcystis属の分解に着目している。 本年度は,湖底の底泥表層に堆積したアオコ形成藍藻Microcystis属の分解過程を明らかにするべく,室内実験を行った。茨城県南部に位置する北浦に集積したMicrocystisを主とするアオコ群集を,13C, 15Nと共に培養してラベルした。その後,室内で湖水環境を模した水温下で分解実験を行った。霞ヶ浦湖心近くの底泥と湖水を入れた三角フラスコ(以下,底泥系)に,濃縮したラベル済みのMicrocystisを懸濁させ,54日間,一定水温下で分解させた。対照系には,底泥を入れていないもの(以下,湖水系)を準備して,底泥が与える影響を検討した。 底泥系における直上水中のMicrocystis 濃度は,実験開始後2日目までに減少し,その後安定した。一方で,湖水系ではMicrocystis濃度の減少がほとんどみられなかった。また,底泥系における底泥中のMicrocystis濃度が,実験開始後2日目までに上昇していた。これらのことから,Microcystisが懸濁した底泥とともに沈降したと考えられた。また,窒素濃度の上昇は,湖水系よりも底泥系で大きかったことから,Microcystisが底泥とともに沈降することで,栄養塩の回帰が緩やかに行われたと推察された。底泥とともに沈降したMicrocystisの分解は,リアルタイムPCRを用いた測定結果より,実験開始12日後には開始していたと示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H28年度に実行を予定していた室内実験は速やかに遂行された。同時に予定されていたH29年度のための予備実験も行われ,十分な準備ができている。一方で,分析機器の不調等のため予定されていた分析の一部が行われていないことから,やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度に予定されていた分析の一部が行われていないことに対しては,機器の修理を行うことができたことから,今後速やかに進めていく。当初予定されていたH29年度の室内実験については予備実験がすでに行われており,予定通りに遂行できると考えている。
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