研究課題
SACLAで単細胞紅藻の低温ホログラフィックX線回折イメージング実験を行った。半値全幅1.5 μm程度に集光したXFELシングルショットでのホログラムを取得し、本研究提案手法により投影電子密度像を再生した。細胞分裂間期および分裂期の個体の投影電子密度像を有効分解能110~200 nm程度で取得し、葉緑体やミトコンドリアの分裂の様子や細胞核内の電子密度分布変化を非侵襲かつ無染色で可視化することに成功した。また、SACLAでの実験で取得される膨大な回折パターンから解析に適切なホログラムを選別するため、本研究で提案する解析アルゴリズムを応用した、ホログラム選別ソフトウェアを開発した。本ソフトウェアにより試料面積およびregion of interest内の総回折強度、最高空間周波数等に基づいたデータ選別を行い、良質なデータを選出することができた。シングルショットホログラム取得効率の向上に向けて、本手法に適当な大きさ2 μm以下の細胞の分離技術、細胞と参照光源を適切に配置した試料の作製技術の開発を行った。前者では濾過カラムを利用した方法で良好な結果が得られたが、細胞懸濁液の濃度が著しく希釈される問題が生じた。現在、濾過・濃縮システムを構築しているところである。後者については半導体プロセス技術を応用し、試料支持基板上に直接参照光源を成形した。SACLAでのホログラフィックX線回折イメージング実験を行い、得られたホログラムの解析を進めているところである。
2: おおむね順調に進展している
細胞分裂間期および分裂期の細胞像取得に成功し、申請当初の計画通りの進度である。今後の研究を円滑に進める上で必要なホログラフィックX線回折イメージング実験用試料基板も開発方針が決まり、順調に高度化を進めている。
本手法に適当なサイズの細胞の分離技術や参照光源を成形した試料基板の開発を引き続き進め、細胞像取得効率の向上を図る。本技術開発を通じて比較解析に十分な数の試料像を収集し、構造解析を行う。
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