本研究は、哺乳類大脳皮質発生において、神経幹細胞radial glia(RG)の上皮極性を持った特徴的な形態が、分裂によってどのように維持されているのか、またその形態を維持する機能に変化が生じることによって組織構造にどのような影響を及ぼすのかということについて解析した。RGは増殖期において柔軟な形態的自己複製能を有しており、分裂面の角度を擾乱して頂端面を失う分裂を誘導しても、頂端面を再形成する性質を持つということが明らかになった。この性質は神経産生期には減弱しており、それによりRGが脳室帯から離脱することができ、脳室帯外の新たな幹細胞層の形成につながることが示唆された。
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