研究課題/領域番号 |
16K21629
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小椋 陽介 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 基礎科学特別研究員 (20733158)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 形態形成 / 上皮の陥入 / ERK / MAPK / 数理モデル / 細胞骨格 / アクトミオシン / 光遺伝学 |
研究実績の概要 |
本研究は、初年度に得られたERK活性の伝搬機構と上皮陥入の力学モデルを支持する以下のような知見を得た。 (1)ERKの活性化は大まかに段階的(gradual)なものと急激(switch-like)なものの2通りに大別される。気管プラコードでのERK活性化がどちらの様式に従うかを明らかにするために、FRET画像の定量解析を行い、後者に近い急激な活性化様式であることを支持する結果を得た。このことは、初年度に明らかにされたEGFRシグナルのポジティブフィードバックと対応する結果である。 (2)Rasの活性化を担うSosがERK活性化に伴って細胞境界において蓄積を示すことを発見した。SosがERKの活性化の初期段階において細胞境界に局在し、ミオシンの蓄積に関与していることが示唆された。 (3)伝搬領域が正常胚に比べて拡大するwingless変異体、EGFRシグナルの阻害因子を発現するargos変異体などを用いて、ERK活性の伝搬がリレーによって繰り返される仕組みを考察した。 (4)1から3の知見をもとに上皮陥入の力学モデルの改良を行った。その結果、アクトミオシンによって生じる細胞張力に大きなノイズが導入された場合でも、この仕組みが気管プラコードで見られる上皮の陥入を説明しうることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに得られた内容で国内外の学会において口頭発表を行い、同内容の論文が審査中であるため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度得られた知見をもとに、ERK活性の伝搬範囲を変化させて、上皮の陥入の位置とサイズを変更する実験を行う。また、これまで解析していなかった3次元的な細胞形態の解析を加えることで、上皮の陥入機構をより深く理解する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)論文出版にかかる費用として確保していたが、受理が間に合わなかったため。(使用計画)次年度論文が受理され次第、出版費用として使用する予定である。
|