細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)は、細胞の増殖・運動・分化などの多様な現象を制御する。生体内ではERK活性が複雑な時空間パターンで変化するが、その発生現象への寄与については未解明であった。本研究は、器官形成に重要な上皮の陥入の過程で見られるERK活性の伝搬現象に注目し、ERK活性の時空間パターンが形態形成運動を制御する仕組みを解明した。具体的な成果としては、(1)ERKシグナルのポジティブフィードバックがERK活性を細胞間伝搬させることを明らかにし、上皮陥入への寄与を示した。(2)FRET画像の解析手法を確立し、神経外胚葉分化における細胞質と核でのERK活性の差異を明らかにした。
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