研究課題/領域番号 |
16K21631
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大竹 和正 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (80593631)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 応用生物化学 / 酵素化学 / バイオテクノロジー / タンパク質工学 / 非天然型アミノ酸 |
研究実績の概要 |
申請者らは大腸菌翻訳終結因子1遺伝子破壊株を初めとする大腸菌遺伝暗号改変株の開発を行って来た。また、大腸菌において最もまれなセンスコドンであるAGGアルギニンコドンに特定の非天然型アミノ酸を割り当てることにも成功している。これらの成果として、以前には不可能であったタンパク質中の部位特異的多数箇所への非天然型アミノ酸導入が可能になると共に、複数種類の非天然型アミノ酸及び類似体の導入へと繋がる基礎的知見が得られた。本申請課題では、実際に複数種類の非天然型アミノ酸を同一のポリペプチド鎖中に同時に導入出来る大腸菌株の開発に取り組んだ。基とした改変株の性質に依拠した障壁が存在したが最終的にこれを回避する手法を考案し、複数のハロゲン化チロシン導入により安定化したトランスグルタミナーゼにさらに同時にα-ヒドロキシ酸を導入したタンパク質の生産を可能とした。α-ヒドロキシ酸導入部位はエステル結合が形成されアルカリ条件下で切断が可能である。本研究成果により非天然型アミノ酸とその類似体を用いることにより、非酵素的に活性化可能な安定化トランスグルタミナーゼのの生産が可能となるとともに、同様の手法を用いた他のタンパク質への他の非天然型アミノ酸同時導入の可能性に付いても示唆された。実際に二種類の異なる化学的足場をを導入した抗体断片の作製について予備的データを得ている。 非天然型アミノ酸を用いたタンパク質工学は、従来の進化工学的手法とは異なる新しいアプローチであると同時に併用も可能である。この強力な手法をより幅広く展開可能にすることを目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内に遂行する予定であった、研究計画の大半は滞りなく終了しており概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
投稿論文の完成度を高めるための追加的実験および、応用展開に向けて作製した系の汎用性を示すための実験を行う。 論文投稿および学会発表を行い研究成果をひろく発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究計画の一部変更に伴い予定していた物品の購入を一部見合わせた。また、研究期間の延長に伴い一部消耗品は次年度の購入が適当であると判断したため。 (使用計画) 投稿論文の追加的実験や応用展開を目指すため実験に必要な消耗品を購入する。また、研究成果を広く周知するための諸費用にあてる。
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