研究課題/領域番号 |
16K21640
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
常岡 充子 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (80623199)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DV / 暴力 / ドメスティックバイオレンス / 攻撃行動 / 判決文 |
研究実績の概要 |
配偶者やパートナー間での暴力について、そのエスカレートの過程を調べるため、裁判の判決文を収集し、その特徴を抽出した。裁判の判決文は、判決日が平成14年4月1日から平成30年3月31日までの間とした。刑事事件では、『「夫」または「妻」または「交際相手」』及び『「殺人」または「傷害」または「致死」または「致傷」または「放火」』をキーワードにし、民事事件では、「夫婦」及び「不法行為」及び『「暴行」または「生活費」または「婚姻費用」または「暴力」』をキーワードにして、データベースを検索した。また、刑事事件と民事事件の両方で「配偶者からの暴力」をキーワードにしてデータベースを検索した。 収集した判決文を精読し、「同一加害者・被害者の組み合わせで、複数日に攻撃行動が報告されている」という条件を満たす判決文だけを、精査対象とした。精査対象となった事件数は、刑事事件が29件、民事事件は31件であった。今回使用したデータベースは民間の業者が提供しており、全ての判決文を網羅しているものではない。そのため、刑事事件では凶悪犯の割合が多い、などの偏りがあった。また、加害者・被害者間での暴力が複数日に存在したが、最初の暴力と最後の間の時間経過が非常に長い場合等は、最初の暴力の日時の記載がなく、今回の分析で必要な情報を収集できないため精査対象から除外となった事件も多数あった(刑事事件:16件、民事事件:6件)。 精査対象の判決文については、判決文に記載されている出来事について、日付が古い順に並び替えてデータを整理した。また、精査時には加害者・被害者の関係性、それぞれの特性に関する情報等も抽出し、参考情報として記録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間のうち、2回の産前産後休暇及び育児休業があったため。さらに、約1年間、研究所勤務ではなく事務職への出向となり、勤務時間内に研究業務を遂行できなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、事務職への出向期間内であることから、実験ではなく判決文の分析を中心に研究を遂行する予定である。精査対象の判決文について、暴力の継続期間、暴力の内容、加害者と被害者の関係性の推移等を考慮し、暴力が凶悪化した事例に共通する内容を抽出することを目的として、分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間内に2回の産前産後休暇及び育児休業があったことから、研究期間の1年延長を申請していた。さらに、2回目の育児休業後、約1年間の事務職への出向となったことから、勤務時間内に研究業務を遂行できなくなったことから、研究期間を1年延長した。 以上の理由から、当初予定していた3年を経過したが、そのうち研究を遂行できない期間が長かったたため、研究期間を延長して研究を遂行する予定である。
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