研究課題/領域番号 |
16K21643
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
森山 葉子 国立保健医療科学院, 医療・福祉サービス研究部, 主任研究官 (10642457)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 在宅介護サービス / 在宅介護期間 / 介護レセプト / 介護保険 |
研究実績の概要 |
世界各国で在宅介護が推進される中、いかに在宅介護期間を長くするか、またその要因を明らかにすることは喫緊の課題である。要介護者の心身の状況および介護環境の他にも、利用する介護サービスの種類も在宅介護期間に関与することが考えられる。本研究では、在宅介護開始後初めて施設入所するまでの在宅介護期間をより長くすることを目標に、どの在宅介護サービスの利用組み合わせが在宅介護期間を延ばすことに寄与するかを明らかにするものである。 本研究で扱うデータは、情報提供申請の審査を経て得ており、研究室からの持ち出しが禁じられているが、本年度は、研究代表者が国際共同研究実施のため渡米したことから、データの分析は二年目に実施することとした。渡米を念頭においた研究実施計画を作成しており、次年度の分析に向けた準備として概ね計画の通り、①本研究の分析に用いる全国介護レセプトデータの情報提供申請を行いデータを得て、②在宅介護サービスの利用パターンに関わる研究、およびサービス利用と在宅介護期間との関連に関わる研究についてレビューを行った。日本の在宅介護サービスでよく使われる利用パターンは、地域により異なることが伺われた。また、在宅介護期間をアウトカムとした研究は限られており、介護サービスとの関連を検討する際、要介護度の推移、負担感の軽減、施設入所期間等をアウトカムにした研究が見受けられた。 さらに米国における社会福祉の専門家らと議論する場が多々あり、アメリカでは高齢者の権利が法律に謳われ、一方で、宗教や教会が生活困難者の救済に大きな影響力を持ち、寄付の習慣も根づいており、介護や社会保障に対する根底にある考え方が日本とは異なることを実感した。また、日本の介護サービスや介護者支援の現状を把握する際も、日米比較を介すことでより明確に日本の特徴を捉えることができ、この視点は本研究においても役立つものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、研究代表者が国際共同研究実施のため渡米をしたが、それを念頭においた研究実施計画を立て、本研究の分析に用いる全国介護レセプトデータの情報提供申請を行いデータを得て、その間、在宅介護サービスの利用パターンに関わる研究、およびサービス利用と在宅介護期間との関連に関わる研究についてレビューを行い、概ね計画通りに実施した。一方で、米国における社会福祉の専門家らと議論する中で、介護や社会保障に対する根底にある考え方が各国で異なることを実感し、具体的なサービスや支援の内容のみならず、その背景にある文化や習慣を含めた解釈を行う必要性を再確認した。また、日本の介護サービスや介護者支援の現状を把握する際も、日米比較を介すことでより明確に日本の特徴を捉えることができたのは、本研究においても非常に役に立つ視点であった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に得た全国介護レセプトデータを用いて、①在宅介護サービスの利用パターンで頻度の高いものを明らかにし、②上位5つくらいのサービスの組み合わせと在宅介護期間との関連を分析し、どのサービスパターンを利用することが在宅介護期間を長くすることに寄与するか検討する。その際、滞米中に得た国際比較の視点を生かして、より日本の特徴を明確に示すため、必要に応じて、培った研究ネットワークを駆使し、多様な示唆を含めた研究を実行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が国際共同研究実施のため、7か月間の滞米をしたが、本研究で用いるデータは研究室外へ持ち出し厳禁であり、分析やその成果発表等を二年目に実施することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初初年度に計画していた学会発表および研究成果投稿費用として使用する予定である。
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