当グループでは血漿中のcell-free DNA(cfDNA)を用いたEGFR遺伝子変異の定量的解析法、及びALK、ROS1、RETの融合遺伝子の解析によるゲノムDNA上のbreakpoints好発部位を報告している。この解析技術とbreakpointsの座標情報を応用し、ゲノムDNAからの検出が困難とされているEML4-ALK融合遺伝子変異につき、次世代シークエンサーを用いた血漿中のcell-free DNA(cfDNA)解析での定量的解析を試みた。 新規ゲノムDNA濃縮法(Single Primer Enrichment Technology)を用い、融合遺伝子と耐性遺伝子を中心としたターゲット配列を含むカスタムパネルを作製した。アダプターに分子バーコードが含まれるキットを用いるため、対象融合遺伝子を含む配列を分子毎に定量することが可能であった。これにより、複数のEML4-ALK融合遺伝子を持つ細胞株のブレイクポイントが特定され、定量性も再現性を持って確認できた。 しかし、シークエンシングにおいてエラーリードが多く、cfDNAを用いた解析には支障を来す可能性が高いと考えられたため、特定した遺伝子融合のブレイクポイント部分を中心に、デジタルPCRおよび別のキャプチャーシークエンシング法を用いての正確な定量法を検証中である。現在は試薬・細胞株DNAの準備中であり、速やかに検証実験を行う予定である。 さらに検証が終了した段階でEML4-ALK遺伝子融合陽性の肺腺がん患者の血漿検体を用いて、確立したシークエンシングを行うことにより、血漿からの融合変異/耐性変異の同定・定量と耐性機構判定法の確立を試みる予定である。
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