研究実績の概要 |
本研究では日本国内においてカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE: Carbapenem-Resistant Enterobacteriaceae)が臨床検体より分離された患者について,CREの臨床疫学的・微生物学的評価を多施設前向きの枠組みで行うことを目的とした。 計11参加施設のうち,9施設の88症例から90例のCREが同定された(2017年8月~2018年3月)。そのうち,カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE: Carbapenemase-Producing Enterobacteriaceae)は27検体(25症例),非カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(NCPE)は63検体(63症例)であった。CPEはE. cloacae (10検体),肺炎桿菌 (6検体),大腸菌 (4検体),C. freundii (3検体), K. oxytoca (2検体), E. aerogenes及びS. marcescens (1検体ずつ)より検出され, NCPEはE. aerogenes (34検体),E. cloacae (15検体),大腸菌・肺炎桿菌・S. marcescens (4検体ずつ),C. freundii (2検体)より検出された。CPEはずべてblaIMP陽性であった。大半のCPE/NCPEは喀痰 (39%), 腹腔内 (21%), 尿 (20%)より検出された。レボフロキサシン・ゲンタマイシン・アミカシンへの耐性は CPEのうちそれぞれ6 (22%), 4 (15%), 1(4%)に認められ,NCPEのうちそれぞれ 6 (10%), 6 (10%), 0に認められた。CPEの症例はNCPEに比し,高齢で尿カテーテルや経鼻胃管の使用例が有意に多かった。院内死亡率・30日死亡率は両者で同様であったが,CPEの検出症例のほうが検出後の在院日数が長い傾向にあった。
|