生活習慣病の治療に際するモラルハザードや逆選択に関する知見と、必要な背景情報を国内外の疫学データ解析と質問票調査によって調べた。質問票調査では、スタチン内服に伴って体重が増加する傾向は必ずしも認められなかった。一方で、スタチン、SGLT2阻害薬の処方に保険が適用されなくなった場合に内服継続を希望しない人は回答者の約4割に達した。これら回答者に関しては、保険があることで厳密な食事療法を行わなくてよい状態になっていることが考えられ、モラルハザードないし逆選択が起きている人を含む可能性が高いと考えられた。また、健常者の8割以上の人が、スタチン等が保険適用になっていることに肯定的な意見であった。
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